6/02/2007

アリソン 第二章 「誘拐と放火と窃盗」(诱拐,放火和盗窃) part.3

  アリソンは速度を落とし、さらに細い道へと左に曲がった。再び加速する。ようやくヴィルの目にも、道の先にある小さな点が見えてきた。先ほどの車だった。
  「どこ行くつもりかしら?」
  「町、じゃない......。まったくの反対方向だ。向こうには......、たしか農地の他は何もないよ」
  「それは、ますます怪しいじゃない」
  アリソンは楽しそうに言った。
  サイドカーが追いつくと、車は急に速度を落とした。
  アリソンは十メートルほど後ろから、警笛を何度も鳴らす。車はさらに速度を落として、しかし止まらずに、そのままゆっくりと走り続けた。
  憤慨したアリソンが言う。
  「何あれ?――追い抜いて、前に止めるわ」
  「無理だよ。幅が足りない」
  ヴィルが言った。道幅は車一台半ほどしかない。路肩は、一メートルほど休閑地へと斜面になっていた。
  「............。このっ」
  悔し紛れに、アリソンは警笛をさらに鳴らしたが、車はからからように低速運転を続ける。
  「こうなったら、燃料切れるまで追いかける!」
  「そんな無茶な......」
  ヴィルが言ったとき、車が道の中央に寄った。進む先に幅の狭い橋があった。
  アリソンも、うるさく警笛を鳴らしながら、サイドカーを中央に寄せる。
  「ん?」
  車の右後ろの窓から、何かが出てきたことにヴィルが気づいた。それは人の手で、握っているのは黒くて小さい、細長い物。
  先端の円い筒が、こちらを向いた。
  「......!アリソン!銃だ!」
  ヴィルが叫んだ。側車から立ち上がって、アリソンのジャケットを掴んで引っ張った。
  「わっ!」
  驚いたアリソンが側車に乗って、運転手をなくしたサイドカーがぶれる。ヴィルはアリソンを掴んだまま、路肩に飛び降りた。
  二人は、雑草だらけの斜面を転がり落ちた。空の蒼と草の緑が交互に何度も見えた。
  無人のサイドカーはバイク側に曲がるように進んで、橋の欄干に側車をぶつける。反動で半回転して、載っていたものをぶちまけて、横倒しになって止まった。
  車内へと、手が引っ込む。車は速度を上げて走り去った。
  アリソンは、路肩と農地の境目で仰向けになっていた。ゴーグルの上に雑草が被さって、視界は緑に覆われていた。
  軽く手足を動かした。動かないところも、痛いところもない。
  「ん?」
  ふと、自分に何かが乗っていることに気がつく。ジャケットははだけていて、シャツの上から、胸を押す奇妙な感触があった。
  アリソンは、ゆっくりと雑草を払いのけた。
  「ヴィル......?」


  艾莉森放慢速度,向左转弯到一条更加窄的小路上,然后再次加速。威尔渐渐又看到道路前面的小点了。是之前的那辆汽车。
  “他到底想去哪?”
  “不是去镇上……。是完全相反的方向。那边的话……确实是除了农田什么也没有啊。”
  “真是越来越奇怪了,不是吗?”
  艾莉森兴奋地说道。
  摩托车一追上去,汽车就突然把速度降了下来。
  艾莉森在后面大约十米的地方,不住地按警笛。汽车的速度更慢了,但是没有停下来,继续悠闲地行驶着。
  艾莉森愤慨地说道,
  “那是什么意思?——追到前面堵住它。”
  “不行啊,路太窄了。”
  威尔说道。道路的宽度只有一辆半车左右,路边是一米左右的连向空地的斜面。
  “…………。这混蛋。”
  艾莉森仿佛失去理智似地更加疯狂地按警笛,但是汽车却像是在耍她一般地,继续低速行驶着。
  “你这样的话,我就追到你没油为止!”
  “那么乱来……”
  威尔说话时,汽车开到了道路中央。前面有一座很窄的小桥。
  艾莉森一边不厌烦地按着警笛,一边也把摩托车开到中央。
  “嗯?”
  威尔突然注意到从汽车的右后窗里面伸出了什么东西。那是人的手,手里握着的是一个又黑又小,细长的物体。
  那东西前面的圆筒,朝向他们。
  “……!艾莉森!是枪!”
  威尔尖叫道。他从侧车上站起来,抓住艾莉森的夹克一把拽过来。
  “哇!”
  大吃一惊的艾莉森跳进侧车,失去了驾驶员的摩托车也失控了。威尔抓着艾莉森,跳到了路边。
  两人从杂草丛生的斜面上滚了下去。天空的蔚蓝和草地的翠绿交替入眼。
  无人驾驶的摩托车向驾驶的那一侧倾斜着往前,撞上了桥的栏杆。因为反作用力,转了半圈,车上的东西都散落了出来,最后车子横着倒了下去。
  那只手则缩回了汽车里,汽车也随之加速开走了。
  艾莉森仰倒在路边和农地的交界处。防风镜上盖着杂草,视线也被绿色覆盖了。
  艾莉森稍微动了动手脚。都能动,也没什么痛的地方。
  “嗯?”
  她突然发觉到什么东西压在自己身上。夹克敞开着,但有种什么东西隔着衬衫压住她胸口的奇怪的感觉。
  艾莉森慢慢地把杂草拨开。
  “威尔……?”

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