1/02/2007

アリソン 第一章 「アリソンとヴィル」(艾莉森和威尔) part.2

  ロウ・スネイアム記念上級学校は、ただ草原と畑の中にある。
  針葉樹の列で囲まれた、小さな村が一つ入ってしまうほどの敷地。しっかりとした赤煉瓦造りに校舎が五棟整列して、教職員用の棟、室内運動場、給食調理棟などがそれを囲む。広大すぎる敷地内には、大きな陸上競技場や球技用運動場、自然学習用の森と畑、芝生と大木が植えられた庭が広がる。
  元は陸軍騎兵隊の駐屯地だったこの施設は、二十四年前に教育省に売却されて上級学校になった。以来、十二歳から十八歳までの生徒約千人を抱える、この地方では最も有名な上級学校として存在し続けていた。
  本を読む少年が、五枚ほど頁をめくったときだった。校舎脇の扉が開き、一年の徽章をつけた生徒、十人ほどが騒がしく話しながら出てきた。最後に扉を閉めながら、脇に移動用黒板を抱えた長身の中年教師も。
  少年が顔を上げた。一年生達が、お喋りをしながらこちらへとくる。通り過ぎざまに彼を見て、少し驚くのもいれば、気にしない者もいた。
  やがて来た教師は彼に気づき、その少し前で立ち止まる。
  「読書かい?ヴィル」
  そう話しかけられた少年、ヴィルヘルム・シュルツは顔を上げ、挨拶の言葉の後頷いた。
  教師が、何を読んでいるだいと興味本位の口調で訊ねる。ヴィルは一瞬悩んだ後、その本の表紙を教師に見せた。すぐに、教師の苦笑いが返ってきた。
  「参ったよ。何て書いてあるんだ?」
  「『おとぎ話全集』です」
  「おとぎ話?」
  「西側のおとぎ話がいくつも載っているんです。こっちに伝わってるのも結構あるんですが、結末がまるっきり変わっていたりしておもしろいです。」
  ヴィルが答えた。教師が軽く肩をすくめてみせた。
  「図書館にはそんなのもあるのか」
  「先生は、補習ですか?一年生の」
  「ああ。初学期からなかなか豪気だろ。幼年学校気分が抜けてないんだな。ーーそうだヴィル、一緒にどうだい?君なら教師役もやれる。歴史だよ。そうしたら私は寝ていられる」
  教師がおどけて言った。
  「遠慮しておきます」
  ヴィルは軽く笑って首を振った。
  三本隣にある、一番太い木の下を教室に決めた生徒達が教師を呼んだ。教師はヴィルに一言かけ歩き出し、やがて待っていた生徒達の前に立った。黒板の足を広げて置く。



  罗·斯涅亚姆纪念高等学校,坐落于草原和旱田之中。
  被针叶树林所围绕的,能容纳一个小村子的占地面积。五栋结实的红砖校舍整齐地排列着,教职员楼,室内运动场,食堂等将其包围着。过于广大校地内,大型田径场和球类运动场,供自然学习用的树林和田地、草地和种植着大树的庭院扩展开来。
  原来作为陆军骑兵队驻扎地的这些设施,二十四年前被教育部买下,成为了高等学校。此后,拥有着数千名十二到十八岁的学生,一直作为这地方最有名的高等学校而存在着。
  就在读书的少年翻了五页左右的时候,校舍边的门开了,十来个戴着一年级徽章的学生吵吵嚷嚷地走了出来。在最后的是个腰挎着移动黑板在关门的高个子中年教师。
  少年抬起头。一年级生们边说着话边往这里走过来。走过的时候看到他,有的稍有点吃惊,有的完全没在意。
  最后来的老师注意到他,在他前面停了下来。
  “在读书吗?威尔”
  被搭话的少年,威尔海姆·修尔茨抬起头,一番寒暄后点了点头。
  老师饶有兴致地问他在读什么书。威尔迟疑了一下,然后将书的封面给老师看。很快,老师还以一个苦笑。
  “真是败给你了。里面写的是什么啊?”
  “是《童话全集》。”
  “童话?”
  “记载了很多西边的童话故事。这里流传着很多那边的故事,结局也完全不一样,挺有趣的。”
  威尔答道。老师耸了耸肩。
  “图书馆里连这种东西也有吗?”
  “老师您在给一年级补习吗?”
  “啊啊,因为是第一个学期,都生气勃勃的吧。还没摆脱掉小学时的气氛呀。——对了威尔,跟我一起去上课怎么样?是你的话当老师没问题,历史课哦。那样的话我就能在旁边睡觉喽。”
  老师开玩笑道。
  “不了不了,谢谢。”
  威尔轻笑着摇摇头。
  隔着三棵树,已经选定了一棵最粗壮的树下作为教室的学生们叫起了老师。老师跟威尔简短地说了句后就离开了,最后来到等着他的学生们面前,把黑板的脚支了起来,放置好。

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