5/01/2007

アリソン 第一章 「アリソンとヴィル」(艾莉森和威尔) part.14

  細い道は、用水路をまたぐときに橋になる。
  石橋の欄干に、老人が一人座っていて、空を見ていた。空の下には、中央山脈の峰峰。
  七十歳を過ぎたほどの男性で、頭は禿げ、残った頭髪もほとんどが白髪。あちらこちらに当て布があるチェックのシャツに,農作業によく使われるサスペンダー付きのズボン姿。
  老人は、遠くからやってくるサイドカーを見つけた。
  「ああ。あのお爺さんだ」
  ヴィルが、道の先で手を振る老人を見て言った。速度とギアを落とす。
  「知り合い?」
  「知り合いかどうかはともかく、うちの学生であの人を知らない人はいない。町はずれの一軒家に一人で住んでいて、何をやってるか全然分からないんだ。毎日町や草原をぶらぶらしていて、たまに学生をつかまえて、変な身の上話ばかりする」
  「変なって?」
  「いろいろ。自分はかつてとある王家で執事をしていたとか、ダイヤモンド鉱山を持っているとか、鉄鋼業界で財を成した大富豪だとか、首都大学の学長をしていたとか、豪華客船の船長をしていたとか、著名な作家だったとか、特許をいくつも持っている発明家だったとか......」
  「なにそれ」
  「先輩曰く、まあその......、どっかの病院から逃げ出してきたんだろうって。学校のみんなは、“うそつき爺”って呼んでる」
  「ふーん」
  「たぶん、家まで乗せていってほしいって言うと思うよ、だいぶ前にも一度あった」
  ヴィルは、道をふさいで両手を振る老人の少し前でサイドカーを止めた。彼は、老人とは思えないほど素早く駆け寄って、
  「やあ!いつも勉学にいそしむ上級学校の優秀な学生さん。......と、なんとも綺麗な金髪のお嬢さん。すまんがわしの家まで乗せていってくれないかね?散歩をしていたんだが、ちょっと疲れた。なあにすぐそこだよ。逢い引きのじゃまはしないよ。もしよかったら、ウチでのんびりしていってくれてもいい」
  ヴィルが軽く周りを見渡す。草原しか見えない。質問をするために、側車のアリソンに向いた。すでにアリソンはおりていて、
  「どうぞ」
  老人にその席を譲る。
  「おおこりゃすまんの」
  老人は側車に、アリソンはヴィルの後ろのサドルに座った。
  「いいの?」
  ヴィルが振り向いて聞いて、
  「どうせそのつもりだったんでしょ?ヴィルが頼まれて断る訳ないし。それに――」
  アリソンは笑いながら言う。
  「誉められたし。――ヴィルが」


  小路横跨水渠时,变成了桥。
  一个老人坐在石桥的栏杆边,望着天空。天空的下面,是中央山脉的连绵群山。
  他看起来七十多的了,头顶微秃,剩下的头发也几乎全白了。他穿着一件到处打着补丁的方格花纹衬衫,下身是干农活时常穿的吊带裤。
  老人看到了远远开过来的摩托车。
  “啊,是那个老爷爷”
  威尔看着在前面挥手的老人说道,同时踩刹车减速。
  “你认识他吗?”
  “先别说我认不认识,反正只要是我们学校的学生,没有人不认识他的。他一个人住在镇外的独宅里,完全不知道他是干什么的。他每天在镇上或草原上闲逛,有时候逮到个学生,就净说些自己奇怪的身世”
  “奇怪的?”
  “很多很多。自己以前在一个王室里做管家的啦,拥有钻石矿山啦,自己是钢铁业界的大富豪啦,首都大学的校长啦,豪华客轮的船长啦,著名作家啦,拥有很多专利的发明家啦……”
  “那都是些什么呀”
  “听前辈说,那个……可能是从哪家医院里面逃出来的吧。大家都叫他‘吹牛爷爷’”
  “呃——”
  “多半是要我们载他回家吧,我觉得。以前也有过一次的。”
  威尔在堵着路挥手的老人家前面停下了摩托车。老人家飞快地跑过来,速度完全不像个老人,
  “呀!是那个勤奋学习的高级学校的优秀学生呀。……还有一个好漂亮的金发小姑娘。真是不好意思,能不能载我回家?刚才在散步,有点累了。就在不远处哦。决不会打搅你们约会的哦。如果你们愿意,也可以在我家坐坐嘛”
  威尔略微望了望四周,只看得到草原。他转向侧车上的艾莉森刚想问,艾莉森已经下车了,
  “请吧”
  她把位子让给了老人。
  “哦哦,那真是不好意思了”
  老人坐上了侧车,艾莉森则坐在威尔后面的座位上。
  “没关系吗?”
  威尔转过来问道,
  “反正你本来就想载他的吧?威尔你只要被拜托,都不会拒绝的咯。而且——”
  艾莉森边笑边说着。
  “而且又被那样夸奖了哈”

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