5/02/2007

アリソン 第一章 「アリソンとヴィル」(艾莉森和威尔) part.15

  すぐそこと言われた老人の家は、たっぷり十キロは離れていた。
  バス道から外れて、誰も通らない細い道を行く。やがて、数本の木に囲まれた小さな家が見えてきた。赤煉瓦造り。本当に小さな、必要最低限の大きさで、電気も通っていない。
  井戸の前に、自転車にエンジンをつけたような、小さなバイクが置いてある。ヴィルは、その隣にサイドカーを止めた。エンジンを切る。
  「いやあ、助かったよ。どうもありがとう。とてもていねいな運転だな。感心した」
  老人がそう言いながら側車からおりた。同時に、家の中から女性が一人飛び出してきた。四十代後半ほどのお手伝いさんだった。紺色のスカートにエプロン姿。
  「お爺さん!今までどこに行ってたんですか!」
  彼女はエプロンを脱ぎながら、いきなり大声を出した。
  「まったく!こっちの都合というのもあるんですからね。戻ってこられないんでしたら遠くまで徘徊しないでください。お買い物に行く時間がなくなります!」
  「いやあ、すまんすまん」
  老人が、少し申し訳なさそうではない態度で言った。
  「そうそう、こちらは乗せてくれた親切な学生さんと、そのお知り合いの金髪さん。お二人さん、こちらは家のうるさい賄いさんだ」
  「うるさいは余計です。私は町に行きますから。学生さん達にお茶をお出しするのでしたら、準備はできていますから」
  そう言い残し、お手伝いさんは小型バイクに乗ってエンジンをかける。
  「きぃつけてな」
  老人が言うと、彼女は振り向いて、驚いた様子で彼を見た。
  「はい」
  小さく言い残して、小型バイクは走り去った。そして老人は、二人をお茶に誘った。
  「せっかくだから、午後のお茶でのんびりしていきましょ。どうせ予定ないし」
  アリソンはそう言って、率先して小さな家の中に入る。ヴィルが続いた。
  ドアを開けてすぐに小さなテーブルがあって、イスが三つ。壁際にはだいぶくたびれたソファ。中央には薪ストーブ。その上で、やかんから湯気が立っている。戸棚には、ポットとカップと茶葉の缶が用意されていた。
  「ああ、二人とも座っていていいよ。すぐにできる」
  老人はそう言うと、手際よくポットにお茶を作り、テーブルに持ってきた。アリソンとヴィルは、礼を言ってカップを受け取った。
  老人は自分の分もなみなみとついで、イスに座った。
  「いや。疲れたらお茶だな」
  楽しそうに老人が言った。お茶を一口飲んだアリソンが、
  「おいしい!こんなおいしいの初めて飲んだ」
  ヴィルも飲んで、静かに頷く。
  「おいしいです」
  老人はしんと手を叩いて、
  「それはよかった。何せこれは、スターツ王家御用達の品だからな。普通の人には、まず手に入らん。わしは若い頃、夏王宮で庭師をしていたから、特別に分けていただいてるんだ」
  「へぇ、いいですね。――で、その話も嘘なんですか?」
  アリソンが聞いて。ちょうど飲み込もうとしていたヴィルがむせた。
  「アリソン......」
  「だって――」
  「あはははは!実は本当じゃあないんだ。すまんな。王家は全然関係ない。そう言えば庭師もしたことないなあ」
  老人は豪快に笑い、そして全く悪びれずに言った。


  说是就在附近的老人的家,足足离这里有十公里。
  威尔他们离开了公共汽车走的大路,在一条没有人走的小路上行驶。不久,就看见了被几棵树围绕着的小屋。那是一栋红砖材质的小屋。真的是小得不能再小了,连电灯也没有。
  在水井前面停着一辆似乎是在自行车上装了引擎的小摩托车。威尔在它旁边停下了自己的车,熄掉了引擎。
  “哎呀,得救啦。真是太谢谢你们了。你骑得很稳很小心啊,真佩服。”
  老人边说着边从侧车上下来。同时,一个女人从家里面飞跑出来。是个看上去四十多岁左右的帮佣。穿着藏青色的裙子,外面系着围裙。
  “老先生!你刚才到底去哪里啦!”
  她脱下围裙,突然大声喝道。
  “真是的!我也是有安排的嘛。回不来么就请不要遛那么远。买东西的时间都快没有了!”
  “哎呀,不好意思,不好意思。”
  老人似乎完全没有歉意地说道。
  “对了对了,这两位是载我回来的热心的学生,和他的朋友,金发的小姐。两位,这是我家那唠叨的厨娘。”
  “别把唠叨加上去。我要去镇上了。要请学生们喝茶的话,已经准备好了。”
  帮佣大婶留下这话后,便骑上小型摩托车,发动了引擎。
  “路上小心啊。”
  老人刚说完,大婶就转过头来,吃惊地看着他。
  “知道了。”
  她小声说了句,便驶着小型摩托车离去了。于是老人便邀请两人喝茶。
  “好不容易来了,不如好好地享受一下下午茶。反正本来也没什么事嘛。”
  艾莉森这么说着,率先进了小屋。威尔跟着进去了。
  门一打开,就见一张小桌子和三把椅子。墙边是一张很老很旧的沙发。屋子中间则是烧柴的火炉。火炉上的水罐正冒着热气。橱柜里面,茶壶,杯子和茶叶罐都已经准备好了。
  “啊,两个人都坐啊。马上就好了。”
  老人边这么说着,边手法熟练地泡好茶,拿到桌上。艾莉森和威尔道谢后,接过了茶杯。
  老人为自己也满满地倒了一杯茶后,坐上了椅子。
  “哎呀,累了以后喝茶最好啊。”
  老人愉快地说道。艾莉森喝了一口后,说道,
  “真好喝呀!我第一次喝到这么好喝的茶。”
  威尔也喝了口,静静地点头附和道,
  “真好喝。”
  老人高兴地直拍手,
  “那就好哟。怎么说都是斯达茨王室的御用品呐。普通的人是根本喝不到的。我年轻的时候在夏宫做园艺师,所以才特别被分到了一点呢。”
  “呀,真厉害啊。——那么,这些话也是吹牛吗?”
  艾莉森问道。刚要喝下茶的威尔呛了一口。
  “艾莉森……”
  “可是——”
  “啊哈哈哈哈!其实那确实不是真的。抱歉抱歉。我和王室完全没有关系。说起来我也没做过什么园艺师。”
  老人爽朗地笑起来,毫不在乎地说道。  

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