2/16/2007

アリソン 第一章 「アリソンとヴィル」(艾莉森和威尔) part.11

  ロウ・スネイアム記念上級学校は、他の学校と同じく全寮制をとる。しかしこの学校の寮はその敷地内ではなく、およそ十五キロも離れた最寄りの町、マッカニウにある。学校が創立された際に、町人が町へ金が落ちないことを危惧して強硬に主張したためだった。学生達は町営バス会社のスクールバスに乗り、学校に通う。
  普通の学期には朝昼夕方夜と、時間割に合わせて頻繁にバスが出ているが、休暇中は、補習に合わせた数便だけしかない。それも、補習期間が終わればなくなってしまう。
  休暇中寮に残り学校へ行く生徒や教員に、学校は自転車と、そしてサイドカーの貸し出しをしていた。むろんサイドカーは誰でもというわけではない。三年生以上で成績が悪くなく、運転講習を終えている者だけに限られる。
  学校から南に四キロほど行った場所に、湖と湿地がある。
  湿地を一望できる小高い丘の上に、アリソンとヴィルがいた。ヴィルは、シャツの上に夏服の薄い上着を着ている。アリソンは、動きやすそうなパンツと厚手のシャツに着替えていた。
  「そうそう、ここ。上から見て凄く綺麗だったの。」
  アリソンは景色を眺めながら言って、ヴィルに振り向いた。
  「よくくるの?」
  その質問に、ヴィルは首を振った。
  「めったに来ない。近すぎるからかな。」
  二人の立つ後ろには、学校所有のサイドカーが止まっていた。
  バイクにはサドルが前後二つ、車体右側に側車がくっついている。簡単な座席と手すりだけの側車には、学校の所有物であることを示す教育省の紋章と、車体通し番号が描いてあった。
  「驚いたよ・・・・・・。いきなりくるなんて」
  ヴィルが言った。少女飛行士がヴィルの知人だったと分かると、友人や教師が遠慮なく質問をぶつけてきた。適当なことを言ってその場から離れて、保健室でアリソンを着替えさせる間にサイドカーを借りて、逃げるように学校から出てきた。
  「そう?夏休みになったら一度は行くって手紙に書いたじゃない。ヴィルも、どうせ行くところがあまりないから、ほとんど寮にいるからって。外来者も泊まれるんでしょう?」
  「そうなんだけれど、寮も大丈夫なんだけれど、まさか空軍の飛行機でくるなんて・・・・・・。汽車でくるから、その前に電報がきて駅まで迎えに行くのかと思ってた。あの飛行機は?」
  勤務態度が優秀なわたしのために、軍が特別に手配してくれたの。――って言って信じる?」
  「もちろん信じないよ」
  「・・・・・・。私が飛行機を運ぶ部隊に入ったことは、たしか手紙に書いたわよね?」
  「うん。去年の秋のに」
  「それで、あの新品練習機を工場かキナニまで飛ばす任務があったの。当然ネイトを通るから、文字どおり渡りに舟ってやつよね。すぐに休暇取って――」
  「なるほど。それで、ここまで乗せてもらった」
  「正確には、ここまで操縦してきた、だけど。天気が悪くて、二日遅れたけれど」
  「アリソンは、本当にあれを操縦して空を飛べるんだ・・・・・・。凄いな」
  「さっきの校舎すれすれ、上手かったでしょう?同乗の中尉には、止めといた方がいいって言われたんだけれど」
  「やっぱり」
  「・・・・・・やっぱりって何よ」
  アリソンが少し怒った様子で言う。すぐに口調を落として、
  「――調子どう?ヴィル」
  「まあまあ、かな。普通に学校に行って、今は休みだから、図書室で本を読んだりしてのんびりしてる。――アリソンは?」


  罗·斯涅亚姆纪念高等学校和其他学校一样是全寄宿制学校。但是,这个学校的宿舍并不在校区内,而是在离这里十五公里左右的最近的马加尼镇上。这是因为学校创立之初,商人们担心镇子没钱赚而硬提出来的主张。学生们乘着镇营巴士公司的校车上下学。
  平常的学期时,班车很频繁,从早到晚时间表上都有发车。假期里面就只有配合着补习班的几班。那些班车在补习结束后也没有了。
  学校为那些假期中留在宿舍的,去学校的师生们提供了自行车和跨斗摩托的出借。当然,摩托车并不是什么人都能借的。只限于三年级以上,成绩不差,并且学习过驾驶课的人。
  从学校南行四公里左右的地方,有着湖和湿地。
  威尔和艾莉森站在一座可以一览整片湿地的小山丘上。威尔穿着衬衫,外面套着一件薄薄的夏服上装。艾莉森换了行动起来方便点的运动裤和一件挺厚的衬衫。
  “啊啊,就是这里。从上面看起来真是好漂亮啊。”
  艾莉森边看着景色边说着,然后转向威尔。
  “常来吗?”
  威尔摇了摇头。
  “不太来,大概是太近了吧。”
  在站着的两人后面,停着一辆属于学校的跨斗式摩托车。
  摩托车上有前后两个座位,车体的右侧紧贴着一个侧车。只有简单的座位和扶手的侧车上,画着标志其为学校所有物的教育部的徽章和其车体编号。
  “很吃惊呢……。你这么突然来。”
  威尔说道。
  一知道少女飞行员是威尔的熟人,朋友们和老师毫无顾虑地开问了。威尔随便敷衍了一会儿就逃开了,趁让艾莉森在保健室换衣服的时候,他去借了一辆跨斗摩托,随后逃也似的出了学校。
  “是吗?我不是在信里说暑假来一趟的吗?反正威尔你不是说也没什么地方好去,一直呆在宿舍的嘛。外来者也能住宿的吧?”
  “话是这么说,宿舍的话也没问题,但你怎么会乘空军的飞机来的……。我还以为你会乘火车来,我想收到电报后再去火车站接你呢。那架飞机是?”
  “因为我工作优秀,军方特别派给我的。——这么说你信不信?”
  “当然不相信了啦。”
  “……。我确实在信里说过我加入了运送飞机的部队的事情了吧?”
  “嗯。在去年的秋天。”
  “然后,有一个把那架新品练习机从工厂开到基纳尼去的任务。因为要飞经内特的,这趟顺风车自然是不搭白不搭了哈。所以我立马请了假——”
  “原来如此。所以你让人家搭你到这里。”
  “确切地说,是我操纵飞机开到这里的呢。虽然天气不好,晚了两天的说。”
  “艾莉森你真的能开着那个在空中飞啊……。真厉害呐”
  “刚刚贴着校舍飞的那个,厉害吧?同乘的中尉都说叫我不要做了呢。”
  “还是那样啊。”
  “……还是那样,什么意思啊”
  艾莉森有点生气地说道。但马上恢复了语气,
  “——过得怎么样?威尔。”
  “马马虎虎吧。平常么上学,因为现在是假期,所以在图书室看看书啊什么的,过得挺悠闲的。——那艾莉森你呢?”  

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