2/13/2007

アリソン 第一章 「アリソンとヴィル」(艾莉森和威尔) part.9

  やがて、エンジン音は小さくなる。二機は垂直尾翼左側を見せながら、陸上競技場の上を飛び、名残惜しそうに見る生徒達の視界からーー消えなかった。
  最初に翼を振った一機が、大きく左に機体を傾けた。胴体上面を見せながら旋回。やがてぴたりと、生徒達に機首を向ける。そのまま、高度を落としながら、速度は上げながら、突っ込んできた。
  飛行機はヴィル達と赤煉瓦校舎の間を、直前で機体を九十度左に傾け、まるで校舎の壁に着陸するかのように超低空を飛び抜けていく。爆音に、数人の女子が悲鳴を上げ、校舎の窓から身を乗り出していた生徒達は、跳ねられるのを恐れて逃げる。
  操縦席にいる飛行士達が、ヴィル達の位置からもはっきりと見えた。茶色の飛行帽にゴーグル。顔をマフラーで覆っている。
  一年生達が、驚きと興奮の声を上げた。
  「墜落するかと思った......。凄い曲芸飛行だな......」
  教師がつぶやいた。
  件の機体は、先ほどと同じように、大きく左旋回をしていた。再び陸上競技場の端で、機首をこちらに向ける。
  今度は、ゆっくりと高度も速度も落としていった。そして、土埃を舞い上げながら競技場の真ん中に着陸、そのまま滑走する。
  「おりた!おりたよ!」
  「行ってみよう!」
  「すげー!」
  「行こ!」
  驚喜して、一年生達が叫ぶ。教師が慌てて、
  「駄目だみんな!プロペラに跳ねられたら死んでしまうぞ!」
   叫びながら、走り出していた生徒達を戒めた。そして、
  「だから、先生より前には行くな!絶対だぞ!」
  そう言いながら、飛行機へと早足で向かう。
  ヴィルは少し悩んだ後、飛行機に向けて普通に歩き出した。振り返ると、十人ほどの男子生徒が校舎から飛び出してくるが見えた。その内の一人に、すぐに追いつかれて背中を叩かれた。残念ながら成績が悪く補習中の、同学年の友人だった。
  「見たかよヴィル!本物の飛行機だぜ!それも空軍のだ!校庭におりたんだぜ!」
  「うん、凄いね。......ところで、補習は?」
  「やってられるかよ!ほら急げ!走れ!」
  言いながら、ヴィルの背中を押す。仕方なくヴィルも走った。
  飛行機は完全に止まり、エンジンも切っていた。
  体格のいい三十歳ほどの飛行士が、一年生達にこれ以上は近づいないように両手のひらを見せていた。彼は灰色のつなぎに、足には軍用のブーツ。羽織っている革製ジャケットの左腕に、ロクシェの軍人身分を示すセロンの槍が刺繍された徽章がつく。両襟には階級章。
  彼は飛行機共々格好いいと口々に誉められ、苦笑いを浮かべていた。上空では、別の一機がのんびりと旋回を続けていた。



  随后,引擎声音变小了。两架飞机在田径场上方飞行,展示着垂直尾翼的左侧。并未从依依不舍地看着的同学们的视线中消失。
  最初摆动机翼的那架飞机,把机体大大地向左倾斜。回旋着展示机体的正面。之后,却突然将机首转向学生们,不断降低高度,加速冲了过来。
  飞机在即将撞入威尔他们和红砖校舍之间时,猛地将机身向左倾斜九十度,就像是在校舍墙壁上着陆似的,从超低空越了过去。听到那巨大的引擎声,好多女孩子发出了尖叫,从校舍的窗户探出头来的那些学生们也吓地逃掉了。
  驾驶座上的飞行员,就是从威尔他们的位置也能很清晰地看见。他们戴着茶色的飞行帽以及防风镜。脸用围巾遮住了。
  一年级学生们又惊又喜地尖叫着。
  “还以为要坠落了呢······。真漂亮的特技飞行啊······”
  老师喃喃地说道。
  之前的机体,和原先一样,做了一个大大的左回旋。再一次在田径场的边上将机首转向这里。
  这次,倒是慢悠悠地减速下降。飞机在竞技场的中央着陆时扬起一大片尘埃,之后滑行了一段距离。
  “降落了,降落了哦!”
  “去看看呀!”
  “好棒啊!”
  “走!”
  一年级生们惊喜地呼喊着。老师有点慌了,边喊着边告诫着冲出去的同学们,
  “大家不要啊!被螺旋桨卷到会死的!”
  “因此,绝对不要走到老师前面!”
  接着他边说着边快步跑向飞机那儿。
  威尔稍稍犹豫了一下,接着也信步走向飞机。他一回头,看到十个左右的男生从校舍那里冲过来。他被其中一个追上了,背上被拍了一下。原来是因为成绩差而在补习的,同年级的朋友。
  “看到了吗,威尔!真正的飞机啊!那还是空军的呢!降落在校园里了呢!”
  “嗯。。好厉害啊······对了,你的补习课?”
  “谁还上的下去啊?哎呀快点啦,快走哦!”
  他边说边推着威尔的背。没有办法的威尔也跑了起来。
  飞机完全停了下来,引擎也熄了。
  三十岁左右,体格很健壮的飞行员将双手手掌向外,示意一年级学生们不可以再靠近了。他穿着灰色的工装裤,脚上是军用的靴子。披在身上的皮夹克的左腕上佩戴着绣有证明其洛克谢军人身份的“塞隆之枪”的徽章。衣领上是阶级章。
  听到大家异口同声地称赞他和飞机有多么酷,他脸上浮现出苦笑。在天上,另一架飞机还在悠闲地继续回旋着。
    

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