2/18/2007

アリソン 第一章 「アリソンとヴィル」(艾莉森和威尔) part.12

  「わたしもまあまあ……、よりちょっと下かな。ほとんど毎日空を飛べて、もちろん楽しいけれど、いつまで経っても戦闘機には乗らせてもらえない」
  「この前、乗ったって書いてなかった?」
  「うん。でもあれは、輸送のためにちょっと乗っただけ。さんざん振り回したけれどね。わたしが言いたいのは、戦闘機部隊には、いくら頼み込んでも転属させてくれないってこと。“若いから”、とか、“女だから”、とか。どうしようもない理由でね」
  「ふーん……、そっか」
  ヴィルが言ったとき、水鳥が水面を助走して、飛び立っていった。二人はそれを、一緒に見送る。それから,ふとお互いを見た。
  「…………」
  「…………」
  しばらく二人は、ただ突っ立っていた。
  やがて、アリソンが怒るように言う。
  「何?半年ぶりに会ったのに、話すことないの?」
  「あ、いや……。アリソンは?」
  ヴィルが聞いて、
  「…………。えーと……」
  アリソンも言葉に詰まった。しばらく視線を泳がせた後、
  「そう!おもしろい話があった。会ったら話そうと思っていたんだ」
  楽しそうに言った。ヴィルに向け人差し指をびっ、と立てて、
  「わたし、この前ラブレターをもらったのよ!」
  「……ふうん」
  「“ふうん”、って、それだけ?」
  アリソンが睨んで、
  「いや。まあ……」
  今度はヴィルが視線を泳がす。
  「それがおもしろい話だから、勝手に続けるわ。なんとその差出人は、河向こうの人」
  “河向こう”に反応して、ヴィルは驚いてアリソンを見た。アリソンは楽しそうにヴィルを見ていて、目が合った。
  「……どうして?」
  ヴィルが、これ以上ないほど真剣な顔で聞いた。
  「半月ちょっと前に、ロクシェ空軍と向こうで、合同の救難訓練があったの知ってる?」
  ヴィルは頷く。
  「ラジオで聴いたし、新聞でも読んだ。両方の軍が同じ場所で何かをして、初めて死人が出なかったって書いてあった。皮肉たっぷりに」
  「そう。水上飛行機を使って、遭難した船乗りを救出する訓練。ルトニ河の広いところの、緩衝地帯の島で行われたの。建前上は、最近まとまった漁業協定で河に出る漁船が増えるから、
  “その救難時に突発戦闘にならないような連絡方法と緊急信号の取り決めとルール作り”ってこと。でも本当は、両方とも自分達の飛行士が不時着したときに助ける方法をはかりたかっただけなんだけれどね。それでも、蜜月だってことで実現して、うちの部隊から数人が機体運ぶに参加して、わたしも頼み込んでついていったの。控えの控えのそのまた控えの飛行士っていうことだったんだけれど。で、その時にスー・ベー・イル空軍の若い少尉に、たどたどしいロクシェ語で話しかけられたのよ」
  「それで?」
  「彼の第一声がこうよ。『こんにちは。あなたはロズメーツ大佐の娘さんでしょうか?』――ちなみにロズメーツ大佐ってうちの指揮官ね。バカンス気分で、近くの町まで家族を連れてきていたの。わたしはカチンときて、『いいえ。自分は飛行士としてここにいます』って半分嘘でも言ってやったの」
  「そうしたら?」
  「そうしたら、向こうはいたく感激して、まず非礼を詫びて、それからわたしをお茶に誘ったわ。とは言っても、天幕の下の椅子と机だったけれど」
  「で?」
  「おもしろそうだったからついていって、向こうの兵士達にとんでもなく注目されて、飛行機についてお話しして、少しだけ盛り上がって――その時はそれっきり。訓練が終わって四日経ったら部隊に手紙がきたわ。隊長宛に。わたしと正式につき合って、手紙を交わしたいってさ」
  「…………。それ,検閲されていただろう?」
  「もちろん。でも、ちゃんと届いたわよ。でね、部隊ではちょっとした話題になって、勇気のある河向こうの士官を称えてはやし立てて、結局はわたしが、角が立たないようにお断りの手紙を書いた、と。結構格好いい人だったんだけれどね」
  「…………」
  黙り込んだヴィルに、
  「驚いた?」
  アリソンが少し自慢げに訊ねた。
  「驚いた。驚いたよ……。それに感心もした。うん。驚いた」
  ヴィルが、アリソンを見ながらつぶやいた。


  
  “我也马马虎虎啦……,有点不太满意吧。虽然几乎每天都能在空中飞,开心是很开心,但是怎么也不让我开战斗机啊。”
  “你之前不是在信上写说开过了吗?”
  “嗯。但是那只是为了运输才稍微开了一下。就是想要炫耀炫耀嘛。我想说的是,不管我怎么请求,他们就是不肯把我调到战斗机部队啊。什么‘你还太小’啦,‘你是女人’啦,都是些无聊的理由。”
  “哎--……,这样啊。”
  威尔正说着时,一只水鸟在水上助跑,飞了上去。两人一起目送着它离开。随后不经意地望向了对方。
  “…………”
  “…………”
  两人就这样僵立了好一会儿。
  终于,艾莉森有点生气地说道。
  “怎么啦?都半年不见了,就没什么好说的吗?”
  “啊,不是的……。那艾莉森你呢?”
  威尔反问道。
  “…………。这个……”
  艾莉森也一时窘言。视线游离了一会儿后,
  “对了!我有很有趣的事情要说哦。一直在想见面以后要讲给你听的。”
  艾莉森一脸开心地说道。向威尔了竖起食指,
  “我前不久收到了情书了哦!”
  “……哦。”
  “‘哦’,就一句‘哦’啊?”
  艾莉森生气地盯着他。
  “啊,不是的。哎呀……”
  这次换威尔神游了。
  “那个是很有趣的事情啦,不管你,我继续讲啦。告诉你,那个寄信人可是河对岸的人哟。”
  听到“河对岸”,威尔很吃惊地看着艾莉森。艾莉森也正很开心地望向威尔,两人目光相交。
  “……为什么?”
  威尔以从未有过的认真的神情问道。
  “差不多半个月前,洛克谢空军和对岸进行了一次联合救难训练,你知道吧?”
  威尔点点头。
  “在收音机里听到过,报纸上也读过。上面写这是两方的军队在同一地方做事,第一次没有死人。可真是充满了讽刺啊。”
  “是啊。那是使用水上飞机救出遇难船员的训练。在鲁托尼河广阔的缓冲地带的小岛上进行的。表面上说是因为最近出台的渔业协定,出河的渔船增多了的缘故。说是“决定联络方法,紧急信号以及制定其规则,以免在救难时发生突发战斗”。但是事实上,双方都是在谋求自己的飞行员紧急迫降时的救助方法罢了。尽管如此,因为说是蜜月期嘛,还是实现了,我们部队有几个人去参加机体运送,我也好求歹求跟去了。虽然说了要挑十分熟练谨慎的飞行员去的。结果,那个时候,有个年轻的斯贝伊尔空军少尉操着一口不流利的洛克谢语来跟我搭话哦。”
  “然后呢?”
  “他的第一句话是这样说的。‘你好,你是洛兹梅茨大佐的女儿吗?’——顺便说一下,洛兹梅茨大佐就是我们的指挥官哦。他把这当成次度假,把全家都带到附近的的镇上去了。我对他的言行有点生气,半唬着说道‘不是,我是作为飞行员来的’。”
  “接着呢?”
  “接着,对方大吃了一惊,先是对自己的失礼道歉,然后就请我去喝茶啦。虽说是喝茶,也就是在天棚下面摆张桌子和椅子罢了。”
  “然后呢?”
  “因为满有趣的,我就去了。结果受到了对岸士兵们出乎意料的注目,我们聊了些关于飞机的事,还蛮起劲的——也就是那样了,之后再也没见过面。训练结束后过了四天,就有信寄到部队了。是寄给队长的。说是想要和我正式交往,互通书信呢。”
  “…………。那个也要经过审查吗?”
  “当然啦。不过,信还是好好地到我手里了哦。在我们部队引起了不小的话题呢,大家都笑着称他为‘勇敢的对岸军官’,最后我写了封很明白的拒绝信。不过他还真是个帅小伙呢。”
  “…………”
  “吃惊吧。”
  艾莉森带着些许得意地对默不作声的威尔问道。
  “吃惊。吃惊啊……。还很佩服你了。嗯,吃惊啊。”
  威尔看着艾莉森小声嘟囔道。

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